○小川敏夫
私は、民主党・新緑風会を代表して、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 まず第一に、今回の関税化措置について、十分な議論がなされていないことを指摘します。
 我が国において、米は国民の食生活に欠かすことのできない最も基本的な穀物であり、その地位は将来も変わることはないと考えられます。したがいまして、米の自給は将来にわたり、我が国の食糧政策の基本でなければならないと考えられます。
 今回の米の関税化措置による輸入の自由化の実施に当たっては、米が抱えるこうした基本的な位置づけを考慮し、国民の間で将来をも見据えた十分な論議を積み重ねることがひときわ重要であったと思われますが、残念ながら今回の関税化決定は余りにも唐突になされ、国民の間における議論はなかったに等しいものでした。
 政府、与党、全中の三者協議による合意が成立したことをもって国民の合意がなされたという説明では、国民の納得を得られるはずがありません。農業従事者の多くは、議論に参加したことはなく、決まった結果を知らされただけだと訴えております。また、米を消費する立場の国民の声は、一体どこでどのようにくみ上げられたのでしょうか。
 昨年十二月十八日に関係閣僚会議で米の関税化措置が決定されましたが、委員会における参考人質疑では、主婦連役員の参考人は、決定がなされた後の昨年十二月二十四日に初めて説明を受けたと述べておりました。今回の決定が、米を食べる側の消費者の意見は聴取すらされずになされたという、恐ろしいほどに消費者すなわち大多数の国民の声を無視したものであることに私は強く抗議をいたします。
 さらに、国会はこれまで三度にわたり決議を行うなど、国民の主食であり、我が国農業の中核である米の問題について重大な関心を持って対応してまいりました。しかし、この問題の議論のため、与野党の要求により農林水産委員会が開催されたのは、三者合意がなされた日の翌日の半日のみであり、国会で十分な議論を行う時間的余裕すらありませんでした。これは国会軽視も甚だしく、極めて遺憾であります。国民の食糧問題について、今まさに新しい農業基本法による議論が始められているのですから、その根幹をなす米の関税化については、その中で十分かつ慎重な議論を経ることが適切であったと思われます。
 次に、今回の関税化措置が実行されても、真の意味での食糧農業問題の解決には結びつかない点を指摘します。
 今回、国民的議論を省略して関税化を導入しても、その後の関税措置等のあり方は次期WTO農業交渉の結果によることになるもので、将来に及んで具体的に確定した内容による措置が今ここで定まるものではありません。この点について、政府の姿勢も不明確であります。
 その結果、農業従事者から見れば、米の高関税が絶対的に保証されたわけではなく、牛肉の輸入自由化がたどったように、関税が順次引き下げられ、国内の肉牛生産農家が大きな打撃をこうむったことの二の舞にならないかとの不安を解消することができません。また、消費者から見るなら、今回の措置によっては実質的にその実態は何一つ変わらないということになります。結局は、今回の関税化措置は、生産者、消費者が求める良質な米の安定供給という、米づくり農業のあるべき姿の構築に寄与するものではないということに帰着します。
 最後に、ウルグアイ・ラウンド対策費との関連について指摘します。
 ウルグアイ・ラウンドに対応するため、政府は六兆百億円もの巨費を投じて事業を展開してまいりましたが、これだけの規模を持った関連対策も、公共事業を主体とした従来型の事業内容とかわりばえせず、ほとんど効果を上げていないことであります。本対策事業はこれまでに三分の二程度が執行されているにもかかわらず、多くの稲作農家は基盤整備のための新たな負担金を課されるなどにより、以前にも増して厳しい経営を余儀なくされているのが実情であるとも言われております。こうした実情からすると、我が国農業の体質を強化するための具体的な政策が明確にされないまま、安易に関税化を認めるわけにはいかないのであります。
 今回の米の関税化決定について、WTO交渉との兼ね合いや、国内、国際世論を勘案するなら、その基本を全否定しようというのではありませんが、右に述べたとおり、今回の関税化決定には反対せざるを得ません。
 以上をもって反対の討論といたします。(拍手)