参議院法務委員会「部落差別の解消の推進に関する法律案」質疑

○委員長(秋野公造君)部落差別の解消の推進に関する法律案を議題といたします。

まず、発議者衆議院議員門博文君から趣旨説明を聴取いたします。門博文君。

○衆議院議員(門博文君)今御紹介いただきました発議者の一人であります門博文でございます。どうかよろしくお願いいたします。それでは、趣旨の説明を行わさせていただきます。

ただいま議題となりました部落差別の解消の推進に関する法律案につきまして、提案者を代表して、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。まず、本法律案の趣旨について説明申し上げます。

現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じております。全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下に、これを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現すべきと考え、ここに本法律案を提案した次第であります。

次に、本法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、基本理念として、部落差別の解消に関する施策は、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるもの
であるとの理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行わなければならないこととしております。

第二に、国は、部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有すること、地方公共団体は、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとすることとしております。

第三に、国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとすることと、地方公共団体は、そのような体制の充実を図るよう努めるものとすることとしております。

第四に、国は、部落差別を解消するために必要な教育及び啓発を行うものとすること、地方公共団体は、そのような教育及び啓発を行うよう努めるものとすることとしております。

第五に、国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとすることとしております。

なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

質疑のある方は順次御発言願います。

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○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。

この部落問題に関して、国連の委員会からやはり解消について勧告なり意見が出されていると思うんですが、まず外務省の方、まず人種差別撤廃委員会の方でどのようなこの部落差別に関して意見、勧告が出されているのか、御紹介していただけますか。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
二〇一四年七月の自由権規約委員会による最終見解の男女平等という項目におきまして、部落の女性を含むマイノリティー女性の政治参加を評価及び支援するための具体的措置をとるべき等の指摘がなされておりますほか、ヘイトスピーチ及び人種差別の項目におきまして、部落民を含むマイノリティー集団のメンバーに対する憎悪や差別をあおり立てる人種差別的言動の広がり等についての懸念が示されております。

また、二〇一四年九月の人種差別撤廃委員会による最終見解におきましては、部落差別は、人種差別撤廃条約上の人種差別であり、部落民の生活状況等に関する情報等を提供するよう勧告しております。これに対しまして我が国は、同和地区の住民は異人種でも異民族でもなく、疑いもなく日本民族、日本国民であるとの政府の立場を説明しております。

○小川敏夫君 今紹介、国連の委員会、人種差別撤廃委員会の最終見解を紹介していただいたんですけれども、ちょっと今最後に、それに対する回答として、部落差別は人種差別ではないからと回答しているというふうに今答弁いただきました。確かに部落の差別は人種差別ではないというような気もするんですけれども、今外務省がそういうふうに人種差別ではないと回答しているということは、すなわちだからこの勧告について、意見について日本は受け入れないと、こういう意思の表明だということなんですか。外務省。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
我が国としては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、同和地区の住民が疑いもなく日本民族、日本国民であるということを国連に対して申し上げているところでございます。

○小川敏夫君 だから、申し上げているという事実は分かったんだけど、その申し上げた意味なんだけど、だから人種差別ではないからその国連のこの人種差別委員会の見解は受け入れないと、筋違いだからそれは受け入れないと、こういう趣旨で回答したということなんですか。

○政府参考人(飯島俊郎君)この国連におけます、お答え申し上げます、人種差別ということとは異なり、我々としては、同和地区の住民が日本民族、日本国民であるということを国連に対して説明をしているところでございます。

○小川敏夫君どうも私の質問の趣旨がよく、ですから、人種差別撤廃委員会からそういう見解が出されたと。それに対して、そうすると、じゃ聞き方変えますけれども、だから人種差別撤廃委員会から見解が出されたと、人種差別撤廃委員会は人種差別のことだけ言っていればいいんで、人種差別ではない、部落差別は人種差別ではないから、それはそもそもお門違いだと。だから、その見解に対しては受け入れないと。そういう意思表示なんですか、すなわち。

人種差別撤廃委員会からそういう見解が出されたことについて、人種差別じゃないということを説明したということは、説明したという事実はお伺いしましたから、その説明したという意味は、その見解を受け入れない、人種差別じゃないからその見解は受け入れないと、こういうことを意味しているのかということをお尋ねしているわけです。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
この国連の最終見解につきましては法的拘束力があるものではございませんので、我が方といたしましては、この問題につきましては、同和地区の住民について日本民族、日本国民であるという立場を説明してきているというところでございます。

○小川敏夫君 何か同じ質問繰り返しても、堂々巡り、堂々巡りというか押し問答で、何というんだろう、こういうのは。時間が重ねるだけですけれども。じゃ、もう一つ別の国連の人権規約委員会、ここでも部落差別に関して言及されているものがあると思うんですが、こちらはどうなんでしょうか。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
二〇一四年七月の自由権規約委員会による最終見解の男女平等の項目におきまして、部落の女性及びマイノリティー女性の政治参加を評価及び支援するための具体的措置をとるべき等の指摘がなされておりますほか、ヘイトスピーチ及び人種差別の項目におきまして、部落民を含むマイノリティー集団のメンバーに対する憎悪や差別をあおり立てる人種差別的言動の広がり等についての懸念が示されております。

○小川敏夫君 じゃ、この自由権規約委員会の見解に対してはどのように回答したんですか。

○政府参考人(飯島俊郎君) お答え申し上げます。
次の対日審査において説明をするということとしております。(発言する者あり)申し訳ございません。
この国連の自由権規約委員会における対日審査についてのこれは最終見解でございましたので、本件につきましては、次回の対日審査において本件について日本政府の立場を説明するということとしております。

○小川敏夫君 自由権規約委員会の勧告でヘイトスピーチ及び人種差別という中で取り上げられている。そうすると、これはあれですか、やはり同じように部落差別というのは人種差別ではないからと、こういう対応をするということなんですか。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
次回の対日審査における我が方の説明ぶりにつきましては、政府部内でよく検討して回答することとしております。

○小川敏夫君 外務省ではなくて、今度は法務省の方にお尋ねしますけれども、外務省の方としてはそういう回答しているということはあるとして、しかし実際に、国連の方からこの部落差別に対する取組が一言でまとめれば不十分であると、こういう見解が出されておるわけでありますが、法務省としては、これを受けて何か具体的な施策に反映するというようなことはこれはしているんでしょうか。

○政府参考人(萩本修君) 法務省としましても、自由権規約委員会及び人種差別撤廃委員会から今外務省から紹介がありましたような懸念が表明されていることは承知しております。

今、小川委員御指摘のとおり、この勧告を直接踏まえた施策ということではないのですけれども、法務省としましては、今なお同和問題に関する偏見や差別意識がなお存在しているという認識の下、同和問題に関するそうした偏見や差別をなくすための啓発活動に取り組むとともに、人権相談を通じ人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講ずる調査・救済活動に取り組んできたところでございます。

○小川敏夫君 もちろん、この勧告以前からそうした問題に取り組んでいらっしゃるでしょうからそういうことなんでしょうけれども、例えば人種差別撤廃委員会、人種差別でないからということだけで対応するのではなくて、やはりその人種差別撤廃委員会において、人種差別かどうかは別として、やはり差別があるというからそうした見解が示されるわけであります。ですから、国連のこの人種差別撤廃委員会、自由権規約委員会等で、結局部落差別がある、そしてそれが政府の対応が不十分であるという趣旨がこうした国連機関から示されているということは、これは事実だと思うんです。

ですから、人種差別でないというそうした定義の問題だけで処理できる問題ではなくて、やはりこの部落差別が国際機関からもやはり差別として問題視されているという観点から、私はしっかりと日本政府としても取り組む必要があるというふうに思うんですが、どうでしょう、大臣、この部落差別のこの問題について、ひとつ大臣の御見解として御認識と、これから政府がこの差別の解消についてどのように取り組んでいくというお考えなのか、そこのところをちょっと大臣として総括的な御答弁をいただけませんでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘の中で、国連の自由権規約委員会及び人種差別撤廃委員会から委員御指摘のような懸念が表明されていることは承知をいたしております。

法務省としては、同和問題に関する偏見や差別が依然として存在していることを踏まえて、これをなくすための人権啓発活動に取り組みますとともに、人権侵犯事件の調査・救済活動にも取り組んできたところでありますが、今後も引き続きしっかりと取り組んでまいる所存であります。

○小川敏夫君 しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。大臣がそうおっしゃるのですから、それにしっかりと期待したいと思いますけれども。

今回のこの法案は議員立法で出てまいりました。思うには、この議員立法に出る前にそもそも政府の方でそうした法的対応をしておいてしかるべきだったんじゃないかと思うんですが、これまでそうした立法対応というような検討は、これ、したことはなかったんでしょうか、法務省の方では。

○政府参考人(萩本修君)小川委員もうよく御案内のとおりかとは思いますけれども、政府内においては、長らくこの同和問題に限らず人権問題についての施策についての検討を進めてまいりました。

代表的なところを御紹介しますと、平成八年に人権擁護施策推進法が成立いたしまして、これに基づいて翌年、人権擁護推進審議会が設置されました。この審議会における審議の結果、平成十三年五月に人権救済制度の在り方についてという答申がなされまして、これを踏まえまして、翌平成十四年三月、政府は人権擁護法案を国会に提出したところでございます。西田委員から午前中御紹介があったとおりです。ただ、この法案は、平成十五年十月、衆議院の解散に伴って廃案になりました。その後、平成二十四年になりまして、民主党政権時代ですが、政府が人権委員会設置法案及び人権擁護委員法の一部を改正する法律案、これを国会に提出いたしましたが、これにつきましても衆議院の解散に伴って廃案となっております。人権救済制度の在り方につきましては、こうした経緯あるいはこれまでされてきました議論の状況をも踏まえまして、現在も適切に検討している
ところでございます。

○小川敏夫君 今、部落差別だけでなくて、それを含んだ人権問題全般についての御説明いただきましたけれども、この人権委員会の設置につきましても、この自由権規約委員会から最終見解ということで指摘を受けておりますですよね。

この自由権規約委員会からこの人権委員会、あるいは国内人権機構というふうに訳されておりますけれども、これについてはどのような勧告を受けているんでしょうか。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
二〇一四年七月の自由権規約委員会による最終見解及び同年九月の人種差別撤廃委員会の最終見解におきまして、パリ原則に従い、国内人権機構の設置を再検討するよう勧告がなされております。

○小川敏夫君 そのパリ原則ですけれども、要するに、独立した国内人権機構、つまり政府から独立した、あるいは行政機構から独立したといいますか独立性を持った国内人権機構の設置、これを検討するようにと、言わば設置を勧告されているというふうに思うんですが、そういう独立性について少し説明していただけませんでしょうか。

パリ原則で独立した人権機構と言われておりますその独立ということが、ちょっと今説明からなかったようなので、そこのところをポイントを絞って御説明お願いいたします。

○政府参考人(飯島俊郎君)お答え申し上げます。
関連する国連総会決議の附属文書におきますと、そのポイントは以下のとおりとなっております。

一、新たな立法の勧告、人権状況についての勧告等の準備、人権教育の支援、人権に関する広報等の権限を有する。二、構成においても、政府の代表は諮問的地位にとどまるべきである。三、円滑な業務の遂行のための施設を持ち、十分な資金を有する、政府より独立するため、独自の人員、建物を有する。四、個人の状況に関する苦情、陳情を聴取、検討し、調停等を通じた和解を求める等の準司法的機能を持つ。
以上でございます。

○小川敏夫君 だから、今のお話の中で、私が聞いた政府から独立したという部分、だから、政府から独立したそうした国内人権機構の設置というものが勧告されておるわけでありますよね。現状はどうかといいますと、今は法務省の中に人権擁護局があるわけでありまして、政府から独立しているのではなくて、政府の行政の機構の中にこうした人権を扱う部署があるわけであります。

これにつきまして、政府から独立した人権機構というものを設置、本来的にも、やはり政府から独立して、政府が行うそうした人権抑圧というものも、しっかり政府の意向に影響されないで独立して判断できるという意味で独立性が求められておると思うんですが、これが全く履行されていないわけでございます。

どうでしょう、これについては、法務大臣、例えば先ほどの説明の中で、平成十四年、これは自民党政権の時代でございました。あるいは平成二十四年、民主党政権のときでございます。こうした独立性を備えた人権機構を設置しようという、そうしたこれまでの検討の状況もあるようなんでありますが、現時点では、今政府の方は、こうした人権機構の独立性についてこれを実施する、あるいは実施に向けての検討をするというお考えはどうなんでありましょうか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま御指摘もございました新たな人権救済機関を設置するための人権委員会設置法案というものを平成二十四年十一月に提出をされた、しかしあの二十四年十一月の衆議院解散によって廃案となったという経緯を承知しているわけでございますが、人権救済制度の在り方については、これまでなされてきた議論の状況も踏まえて、やはり適切に検討をしているところであります。

○小川敏夫君 適切に検討していただくということですので適切という言葉で理解したいと思うんですが、大臣が言う適切というのは、具体的にどういうことをしたら適切ということを意味するんでしょうか。

○政府参考人(萩本修君)先ほど私の方から御答弁いたしました二回にわたる政府からの内閣提出法案としてのこの人権救済機関についての法案ですけれども、これらはいずれもパリ原則に沿った内容を盛り込んだものというように理解をしております。そして、それぞれその法案を提出するに当たりまして様々な議論がされてきたところでございますので、人権救済制度の在り方につきましては、そうしたこれまでなされてきました議論の状況も踏まえ、引き続き適切に検討しているところでございます。

○小川敏夫君 まあ適切の中身を議論してもしようがありませんけれども。

今回、部落差別を解消するという法律でございますが、やはりこの部落差別の解消も含めて、やはり人権侵害、そうしたことについては非常に重要なことでございますので、それがまた適切にそうした行政なり救済が行われるように、パリ原則に従った、そして中身を伴った人権救済に関する組織、そうした施策が講じられるということが行われるよう、大臣におきましては適切に対応していただきますよう申し上げまして、私の質問を終わります。