「非常に広範囲、緩い組成で、投網をかける危ない法案」参議院法務委員会で共謀罪法案を審議

小川敏夫は5月30日、参議院法務委員会での共謀罪法案の審議で民進党のトップバッターとして質疑に立ち、共謀罪法案を成立させ国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に加盟しなければ東京五輪を開催できないなどとする安倍首相らの主張について「共謀罪法案を成立させたいがための国民への印象操作だ」と問題視し、追及しました。また加計学園と安倍首相との関係についても、過去の役員就任や報酬受け取りについて事実関係を質しました。

【議事録未定稿】
○委員長(秋野公造君)これより質疑に入ります。
まず、内閣総理大臣に対する質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。

今日は総理にお越しいただきまして、基本的なことについてお尋ねさせていただきますが、総理のこれまでの発言の中ですと、この法律はテロ対策、あるいはこの法律を成立させてそして条約に加盟しなければ東京オリンピックも開催できないと言っても過言ではないと、このようにおっしゃっておられました。私は、その総理のお話は、これまで総理がよく使う言葉を借りて言わせていただければ、印象操作、すなわち、テロ対策に関する法律ではない、あるいはオリンピックのために特別必要ではないそうした法律を可決させたいがために国民に印象操作をする、そういう趣旨の発言ではないかというふうに考えております。

その根拠をお示しします。
ただいまお配りいたしましたのは、平成25年12月十日の「世界一安全な日本」創造戦略について、別紙のとおり決定する。」という閣議決定でございます。閣議決定。で、この平成25年12月と、この頃ですね、オリンピックの招致が決まったのは平成25年の9月でございます。あるいは、テロ状況、平成25年の1月には、フランスで、シャルリー・エブドでしたか、テロが起きました。また、平成25年の12月の直前、11月には、パリで同時多発テロが起きて100人を超える死者があったという、まさにテロ事件、国際的な課題となっておるこの時期でございます。

もちろん、テロは許せません。取り組むのは必要でありますが、それとこの法律ということは関係がないということを説明させていただきますが、この平成25年12月10日の閣議決定、まあオリンピックの招致が決まった直後でありましょうから、この「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等を見据えたテロに強い社会の構築」ということをうたっております。この中にいわゆるこの共謀罪もこの条約加盟も入っておりません。

あるいは、「国際連携を通じたテロの脅威等への対処」ということで4項目あります。協力の推進、能力の向上に向けた支援、分析機能の強化、そして日本とアメリカ合衆国との間の協定の締結と、この4項目がテロの脅威の対処だということを平成25年の12月に、安倍総理、閣議決定しておりますが、ここで、TOC条約の加盟も、この法案、共謀罪の成立も入っていません。

すなわち、テロにもテロ対策にもオリンピックのこのテロ防止対策にも、総理はこのTOC条約の加盟、そのためのこの共謀罪、いわゆる共謀罪の成立というものは全く念頭になかったということを如実に示していると思うんですが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま委員が例として挙げられた「世界一安全な日本」創造戦略でありますが、そこで、このサミット、オリンピックを見据えたテロ対策、カウンターインテリジェンス等々の中には国際的組織犯罪対策というのは入っていないわけでございますが、この全体、世界一安全な日本をつくっていくかということについては、この戦略の中で総合的に書いてあるわけでございまして、章を進めてずっと見ていっていただければ、34というところに、「国際組織犯罪対策」というところの中の①として「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約締結のための法整備」ということが書いてあるわけでございまして、こうしたことも含めてしっかりと体制を整えていくことこそが私たちの責務であろうと、こう考えているわけであります。

一般論として、以前より国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘されてきたのは事実でございます。国際組織犯罪防止条約を採択した2000年の11月の国連総会決議においても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような組織犯罪と闘うための有効な手段であることが指摘をされたところでございます。

今般のG7のタオルミーナ・サミットにおいても、英国マンチェスターでのテロ事件を受けて、真剣な議論の結果、首脳間で採択されたテロに関するG7の特別声明では、テロ対策のための世界的な行動に不可欠な要素として、本条約を含む国際文書の実施の重要性が強調されたところでございまして、本条約は、重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団への参加の犯罪化を義務付け、テロを含む組織犯罪への未然の対処を可能とするとともに、マネーロンダリングの犯罪化も義務付けているところでありまして、したがって、テロ行為それ自体に対処できるのみならず、テロ組織の資金源となっている犯罪行為にも対処できる、テロの根本を断つことができるものであると、このように考えているわけでございまして、このように、本条約がテロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に阻止するための枠組みであります。

本法案は、本条約の義務を履行して本条約を締結するためのものであり、テロを含む組織犯罪対策に資するものと考えておりますし、また、2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える我が国として、本条約の締結に必要な国内法整備、すなわちテロ等準備罪処罰法案を成立させ、本条約を早期に締結することが必要不可欠であると考えているところでございます。

○小川敏夫君 委員長、もう本当に限られた質問の時間しかない中で、質問に関係ないことを長々と答弁されては委員会の質疑が充実が図れません。委員長からも注意していただくようお願い申し上げます。

総理、国際組織犯罪対策という中で一行載っていることは事実ですが、ただ、オリンピックのテロ対策、国際的なテロ対策という項目には載っていないんですよ。すなわち、この本条約そのものは、いわゆる金銭的な利益、経済的な利益を中心とした国際的な犯罪を取り締まろうと、マフィアとか人身売買とかそういったことがあるいは念頭に置いてあるんでしょうけれども、そういう念頭に立って、テロを防止のための条約でないという、そういう理解だから、わざわざ特出ししたオリンピックのテロ対策、あるいは国際的なテロ対策という項目の中に載っていないんじゃないですか。

平成25年の12月と今とで総理の答弁、答弁のお言葉を借りれば、国際的なこの犯罪組織とテロ組織とが密接に関わっているということについて何か劇的な変化する事情でもあったんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、今回のサミットでも言わば国際社会の常識として議論になったわけであります。議論になったわけでありますが、そこで、まさに言わばテロを実行していく上においては資金を集めることが必要不可欠であります。ISILにおいてもそうですね、彼らは様々な方法によって、方法によってですね、資金を集めているわけであります。

言わばこうした資金源を断っていくことはテロを防止していく上で極めて重要であるという認識に立っているわけでありますし、また、TOC条約によって捜査共助が進んでいく、あるいはまた情報の共有が進んでいくわけでありますから、これがですね、これが東京オリンピック・パラリンピックを成功させるために、それに対するテロ行為を防止する上においてこれは重要だというのは、これは常識ではないかと、このように考えるわけでございます。

○小川敏夫君 私の質問は、この3年間で国際的組織犯罪、国際犯罪組織とテロ集団との関わりについて劇的な変化があったんですかと、総理は変化があるようなことをおっしゃりましたから、そこを聞いているんです。質問に端的に答えてください。
また、委員長、質問に関係ない発言があったら制限してください。

○委員長(秋野公造君)この際、政府に申し上げます。答弁は、質疑者の趣旨を体し、簡潔かつ明瞭に行うよう申し上げます。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 尊敬する小川委員の趣旨を体してしっかりとお答えをしているつもりでございますが、つまり、これは、組織犯罪と、組織犯罪とあるいはテロと資金源との関わりについては、より一層それが明らかになってきているのは事実であろうと。国際的に、言わばISILの台頭というのは、この2、3年の劇的な出来事と言ってもいいんだろうと思います。そして、ISILは、国際社会全体から資金源を供給するとともに、ネット等を通じて兵士をこれは募集し、そして各地においてテロを実行していくと、こういう組織であります。こういう組織に立ち向かっていく上においては、各国が協力していくことが当然必要だろうし、捜査の共助が求められているわけでありますし、大切なことは、このテロ組織、例えばISILの資金源を断っていくことが重要であろうと。

そして、今回のサミットにおいて、まさにそのISILの資金源を断っていくということがかなりこれ議論になったのは事実でございまして、これは例えば四年前、五年前においては、例えばISILの資金源を断つということは議論にはなっていないわけでございまして、そういう意味においては大きな変化があるというのは事実であろうと、このように思います。

○小川敏夫君 4年前でもISILの問題は非常に大きな問題となっておりましたけれどもですね。

結局、単なる印象操作で、オリンピックが開けない、テロ対策だと言ってこの法案を通そうとしている、印象操作だと、総理の好きな言葉を借りれば、ということを指摘させていただきます。

今日は時間がないので、この法案に関する国民の不安に関して一点だけお尋ねします。

法務大臣、この構成要件は二人の者が計画すればいいということになっておりますが、この法律そのものは団体と、団体の活動として行うということでございます。しかし、構成要件的には二人が共謀すればいいということになっている。この団体は、二人以上であればこの団体の要件を満たすんでしょうか

○国務大臣(金田勝年君) 御指摘のとおり、満たすと考えております。

○小川敏夫君 つまり、組織的犯罪といいながら、しかし、二人でも団体の要件満たすんですよ。じゃ、団体の要件が二人で、二人が共謀すれば犯罪が成立すると。じゃ、僕と誰かが二人で、よし、これから何か広域窃盗団つくろうじゃないか、俺が主役でおまえはちょっと手伝え、見張りでもやっておけと言って役割分担決めてやれば、もう犯罪集団になるんじゃないですか。

これは一般人、普通の、何か大きな人数を抱えた犯罪組織集団、いわゆる反社会的な団体とか、そういったことを念頭に置いただけの法律ではなくて、非常に広範囲に、非常に緩い組織性で、しかも投網を掛けるような、そういう危ない法律ではないかと、私はそういう危惧、これは国民一般も感じていると思うんですが、法務大臣、いかがですか、そうした危惧を感じる国民の声に対して何か御説明できませんか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘にお答えをいたします。
テロ等準備罪は、本条約上の義務を履行できるものであることを前提に、我が国の法制度との整合性を考慮しつつ、必要かつ適正な範囲で立案をしたものであります。

テロ等準備罪の要件であります組織的犯罪集団、これは組織的犯罪処罰法における団体であることが前提となっておりまして、団体の構成員の数につきましては条文上多数人とされているものの、具体的な数までは定められておりません。しかし、その数が余りに少ないときには、構成員の変更が集団の同一性に影響を及ぼすこととなるため、継続的結合体という要件を欠くとともに、その活動が組織により行われるという要件を欠くことから、通常、団体には当たらないと考えられます。したがって、御指摘のように構成員が二名の場合には、通常、組織的犯罪処罰法上の団体には当たらないものと考えられます

○小川敏夫君 だって、初めは、最初は二人でも当たると言ったから、当たる場合があるということでしょう

まあ十分時間がありますので、今日は総理大臣もお越しの中で、余り細かい議論で時間を費やすということはしないで、また改めてじっくり議論をしたいと思いますが。

総理、私は、この共謀罪の一つは、権力に意に沿わない発言をする人、これを権力あるいは政権側が抹殺しよう、社会的に抹殺しようか、おとしめようかとか、そうしたことに濫用されるということが一番の危惧の一つでありますけども、ところで、今、加計学園の問題が大きな話題となっております。前川前事務次官が、この学園の認可に関して総理の意向に従ったというような趣旨の発言と、それを裏付けるような文書を提出しております。

どうでしょう。総理は自民党のトップでもございます。この前川前事務次官の証人喚問について、きちんとこれを行って国民の前に事実を明らかにするような、そうした手続をどんどん進めるようにと、こうした指示をなされる考えはございませんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岩盤規制を改革をしていく、そして、日本の成長戦略をしっかりと前に進めていくというのは安倍政権の基本的な姿勢であります。
なぜ岩盤規制と言われるのか。普通の規制であれば、これは言わば役所と普通に協議をしていけばその規制は改革されていくものでありますが、岩盤規制というのは、それはそう簡単なことではこれは改革できないという中において国家戦略特区という仕組みをつくって、この中においてしっかりとドリルのように穴を空けて、そこから改革を進めていくというものでありますし、またスピード感を持って改革を進めていかなければいけないわけであります。

改革を進めていく上においては常に抵抗勢力があるわけでありますが、この抵抗勢力に屈せずにしっかりとこの改革を前に進めていくことが大切であります。言わば、改革を進めていくのか、あるいはそれに対する抵抗に崩れてしまうのかという基本的な構図があることを忘れてはならないと思います。

その上で、小川委員がおっしゃった参考人として呼ぶかどうかというのは、これはまさに委員会がお決めになることであろうと、このように思います。

○小川敏夫君 最後の一言でよかったんですけどね。

手続は委員会で決めるのは当たり前です。しかし、現実に与党がその招致に反対しておるわけですから、だから与党の責任者として応じるようにということの指示をなされたらいかがですかと聞いておるわけです。

問題は、総理、岩盤規制云々ということじゃないですよ。岩盤にドリルで穴を空ける、穴を空けた下で総理のお友達が手を広げて何か待っているんじゃ、これ、健全な政治って言えないじゃないですか。岩盤規制の問題じゃないんです。規制の結果じゃなくて、具体的にこの総理のお友達が、前川前事務次官のお言葉を借りれば、ゆがめられた形の行政によって総理と密接な関係にある方が特定の利益を得るということが政治の在り方として問題だという趣旨で述べておるわけでございます。

ところで、総理、総理はこの加計学園、あるいは加計孝太郎氏と大変親しい御関係だというふうに伺っていますけれども、総理御自身、加計学園の役員を務めたことはございませんか。加計学園の役員をしたことはございませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) たしか、当選した当初でありますから相当昔でありますが、数年間、監査かそうしたものを務めたことがございます。

○小川敏夫君 報酬も受け取っていますよね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、きちんと私はこれはもう既に報告をしているわけでありますが、1年間に14万円という報酬を受けたことはございます。しかし、これはまさに小川委員の先ほどの言を借りれば印象操作であって、これはもうはるか、はるか昔のことでございます。

それと、今、まるで小川さんは、小川さんは私が友人である加計さんのために便宜を図ったかのごとくの前提で議論をしておられますが、それは極めて私は恣意的な議論なんだろうと思います。先ほども申し上げましたように、私はこの国家戦略特区全般において岩盤規制をこれはまさに破っていかなければいけないと。岩盤規制というのは、今まで規制が改革できなかったところですから大変難しいんです。それはまさに、既得権を持つ団体もいますし、それを、そこに権限を持つ役所もいるわけでありますから、そこに、そこにまさに挑んでいくのが安倍内閣の役割でございます。それは、例えば医学部を新設した際もそうでございますし、農業の特区を進めたこともそうでございます。

それに、私が、私の知り合いだからといって、私が知り合いだから頼むといったことは一度もないわけでありまして、そのことは明確に何回も申し上げているわけでありまして、そうではないというのであれば小川さんがそれを証明していただきたいと、こういうことでございます。

それとともに、ともに、この獣医学部の新設については、民主党時代に、これはまさに民主党時代に、平成22年度中を目途に速やかに検討と、前向きに格上げしたわけであります。検討を続けてきたわけであります。国家戦略特区についても、これはまさに岩盤規制に取り組んでいくために国家戦略特区という仕組みが大切だということで、衆議院段階においては民主党も賛成されたわけでございます。

それを踏まえて私たちはまさに岩盤規制にドリルで穴を空けるためにこうした努力を行っているわけでございまして、これを政局のために言わば抵抗勢力と手を組むかのごとくは、やはりこれは政治家としてどうなんだろうと、私は率直にそう思っているわけでございます。

これからもしっかりとやるべき改革を全力をもって進めていきたいと、こう申し上げているところでございます。

○小川敏夫君 総理、私は、総理が加計学園に関して何らかの指示をしたと断定はしておりません。ただ、大きな疑問を抱いております。

ところで、総理は、私の方から証明しろと言っていらっしゃる。別にこれ裁判の場じゃありませんから、私が立証する責任はございません。政治は、政治を行う者が疑惑を招いたら、自ら積極的にその疑惑を払拭するために説明するというのが政治家の責任ではないでしょうか

総理、例えばこの文書について、確認できないという調査結果が文科省から来ておりますが、総理の御指示で更に徹底的に調査をしろと、このような指示をするお考えはありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 従来から申し上げておりますように、文部科学省からは確認できないということでございます。文部科学副大臣も参っておりますので、文部科学副大臣からも答弁させたいと思います。(発言する者あり)

○小川敏夫君 もっともっと安倍総理と、私が敬愛すると先ほど私のことを褒めていただきましたので、私も返させていただきますけれども、もっと議論をしたかったんですが、残念ながら時間が来てしまいました。

一つだけ指摘させていただきます。民主党政権時代に特区特区と、これは構造改革特区でありまして、地域の要望があればそれに応じていくということでございます。しかし、総理が行ったのは国家戦略特区、まさに国家戦略で国家が決めていくということでございまして、政権の関与が全く異なります。そうしたことを抜きにして、あたかも民主党政権が築いた上に乗っかっているかのような総理の御意見は余りにも恣意的であるということを指摘させていただきまして、時間が来ましたので、残念ですが、私の質問はこれで終わります。